2016年5月20日に京都で開催された日本糖尿病学会に出席してきましたが、その時に高齢者糖尿病の血糖コントロ-ル目標についてのガイドラインが発表されました。この話をする前に、なぜ糖尿病の方は症状がなくても治療をする必要があるのでしょうか?それは今の時点で症状がなくても、血糖コントロールが悪ければ将来合併症で目が見えなくなったり、腎臓が悪くなって透析が必要となったり、時には脳梗塞や心筋梗塞になって寝たきりになると言ったような危険があるからです。そのようにならないためには正常とまで行かなくても、せめてこのくらいの血糖コントロールであれば、危険が少ないですよと言った目標を決める必要があるわけです。その際に血糖値を目標にすると、その時その時であまりにも数値がばらつくため好ましいとは言えず、それよりも過去1~2カ月の血糖コントロ-ルを表すHbA1c値(ヘモグロビンエーワンシー値と読みます)を指標にする方が妥当と言うわけです。さて話を元に戻しますが、HbA1cの目標値は、これまでは2013年に熊本であった日本糖尿病学会でHbA1cを年齢如何に関わらず一律に7.0%未満を目指しましょうとの熊本宣言が糖尿病血糖コントロールの基本となっていました。ところが今回、下の表のように前期高齢者、後期高齢者に分けて、さらには現在の治療内容によってHbA1cの目標値が定められました。
これについて簡単に説明を加えますと、重症の低血糖を起こしそうな飲み薬やインスリン注射を行っている高齢者の方は、HbA1cが7.0未満を目標にすると低血糖が起きやすくなり、むしろ良くないとの観点から目標値を少し高くしましょう。さらには認知症が加われば、もっと目標値を高くしましょうと言ったことになりました。
みなさん、是非ご自分のHbA1cの目標値はいくらかと言うことを、担当の先生にご確認してみてください。
~高齢者糖尿病の血糖コントロール目標(HbA1c値)~