診療チーム

褥瘡チーム

はじめに

褥瘡とは、一般にいう「床ずれ」のことを言います。身体の同一部位に圧迫などの外力が加わると、局所の血流が低下し、それが一定時間以上続くと、皮膚やその下の組織が壊死し褥瘡が形成されます。実際には皮膚の発赤、水疱、びらん、潰瘍といった形で観察されます。浅いと1ヶ月以内で治癒しますが、深いと4ヶ月以上の治療が必要となります。局所因子として、皮膚の圧迫、摩擦やずれ、皮膚の湿潤、全身的因子として基礎疾患、栄養不良、社会的因子として介護力不足などがあります。実際できやすい人とは、寝たきりの人、特に寝返りのできない人、食事を十分摂れない人、関節が固まっている人、痩せている人、むくみのある人などです。高齢者に多く治りにくい病気と言われていましたが、看護師、栄養士、理学療法士など多職種の連携により、予防や早急な治癒が可能になっています。

目的

当院における褥瘡対策チームをつくり、褥瘡の予防・治療を行うことです。

構成メンバー

褥瘡対策委員会の委員長の医師・副委員長の看護師・各病棟の看護師のほか、薬剤師・理学療法士・作業療法士・言語療法士・臨床工学技士・事務員・管理栄養士・臨床検査技師・感染管理者などコメディカルも含んで構成されています。

チームとして褥瘡対策を行うことが、予防や治療を行う上で重要です。

活動内容

委員会は、通常毎月第4金曜日の17時から約1時間NST委員会と一緒に開催しています。褥瘡委員会の主な内容として、下記が挙げられます。

  • 毎月病院内の褥瘡について調査し、把握する。
  • 褥瘡マットの使用状況を確認する。
  • 褥瘡に関した情報収集などを行うことがあげられます。

褥瘡回診は、毎週木曜日15時から、皮膚科の医師・理学療法士・病棟看護師で行います。4週間に1回各病棟を回診しています。

各病棟での褥瘡対策
委員会写真

全入院患者さんを、厚生労働省の危険因子スケールを用いて危険度を評価し、危険因子があればそれに対する診療計画書を作成します。体圧分散寝具の使用、体位変換計画、ポジショニングの方法、スキンケア、NSTの介入、リハビリなどを計画し、施行します。

褥瘡を有する患者様に対しては、褥瘡をDESIGN-Rというスケールを用いて評価し、治癒に向けての援助を行います。

[DESIGN-R]とは日本褥瘡学会が推奨する褥瘡経過評価用のスケールです。深さ・滲出液・大きさ・炎症/感染・肉芽組織・壊死組織・ポケットを観察し、創を評価し、治療方針を考えていきます。

*褥瘡マットの管理は臨床工学技士が行なっていますが、看護師も各病棟の使用状況を把握し、うまく稼働していけるように取り組んでいます。

実績

統計を始めたH22年の有病率は平均5%、院内発生率は0.4〜1.4%、平成29年度の有病率は平均5.45%、院内発生率は0.16〜0.84%でした。入院時からの持ち込み数が増加しているため有病率がやや増加していますが、院内発生率はやや減少しています。褥瘡の重症度を見ると2度の軽傷例が多くなり、早期の治癒が得られています。それにより褥瘡対策の効果が得られていると言えます。

終わりに

当院では入院時の褥瘡の持ち込みも多く、院内発生もあり、年間を通じて毎月十数名の褥瘡患者さんがおられます。褥瘡対策チームでは多職種で連携し、勉強会やスタッフへの指導を行いながら日々、予防、早期発見、早期治療に取り組んでいます。

現在、褥瘡対策の効率化、画一化を図るため、褥瘡対策マニュアルの改訂を進めており、毎月、委員会での勉強会を行なっているところです。

今後の目標として、他職種との連携を強化し褥瘡の院内発生ゼロを目指していきたいと考えています。