当病院では、透析教室・糖尿病教室・減塩教室・糖尿病合併症予防教室・・・と色々な栄養教室を開催しています。参加された方から、この前教室で話された◯◯が聞きたいとリクエストを頂くことがよくあります。今回は、透析教室で、リクエストいただいた、内容の一部をご紹介いたします。
患者さまから、「減塩しなくっちゃ!!と、減塩醤油・減塩味噌・減塩ポン酢・減塩のお塩・減塩漬物・・・・なんて一式そろえて、一安心と思ったら、今度は、カリウムが高くなったと言われたの。果物も生野菜も食べていないのに、なぜ?どうしたら良いの? 」なーんて声が、1人・2人と教室の待合い時間に声がかかりました。透析教室から、輪唱教室へ?・・・ではないのですが、このように、減塩調味量で、カリウム上昇という事例を見かけることがあります。
カリウムは、筋肉や神経の正常な活動を助けるミネラルの一種、腎臓に障害があると、カリウムを十分に尿に排泄することが難しくなり体内に蓄積されてきます。血液中のカリウム濃度が高くなりすぎると危険で、不整脈が起きたり、心臓が止まって突然死に至ることさえあります。こうした危険を避けるためには、血液中の濃度が正常範囲に保てるように、カリウム摂取量を制限することが必要になります。
腎臓病の食事療法として、カリウムは、一般に、果物や生野菜に多いので、食べないようにとか水にさらして茹で捨てて食べてくださいとか、指導を受けた方やご存じの方も多いと思います。
一方で、腎臓の機能が低下した状態では、ナトリウム(塩分)の排泄機能が落ちています。このため、塩分を摂り過ぎると血圧上昇、身体のむくみ、腎臓に過剰な負担をかけてしまうことになり、塩分を控えることは大切です。お店に行くと色々な減塩食品が並び、簡単に手に入りますので、活用されている方も多いようです。
しかし、多くの減塩食品には、塩化ナトリウムのかわりに、塩化カリウムを使用し、塩味をごまかしています。腎臓病などで血液中のカリウムが高くなりやすい方は、過剰摂取に注意が必要です。
では、どれだけのカリウムが含まれているのか、比べてみてみましょう。
■調味量のカリウム対決■
減塩醤油 対 醤油
減塩シオ 対 食塩
減塩カレー 対 ◯―モンドカレー
なんと、塩分30%オフカレー(1皿分)=減塩シオ(1.2g)=バナナ1本分のカリウム量と同じとなります。つまりは、カリウムの多いと言われる、バナナ1本食べたことになりますネ。
減塩調味料を使用した、減塩の漬け物も注意が必要です。
食品は、薬とは異なり、単独の栄養のみ配合ではなく、何種類もの栄養素の集合体です。ですから、この食品をやめれば、この食品にかえれば、大丈夫と言うことはありません。パーケージの裏面の表示をみて、食品を選ぶ事が、大切ですね。
栄養管理科:管理栄養士 長 久美