<糖尿病診療の現状とチーム医療の必要性について>
過去の医療コラムで、新しい糖尿病治療薬としてDPP-4阻害薬を紹介したのちに改めてSGLT2阻害薬について紹介しましたが、最近では週1回注射するだけのGLP-1製剤であるとか、週1回飲むだけですむDPP-4阻害薬が出てきており、近年の糖尿病薬の進歩には本当に驚いてしまいます。
しかしながら、いくら糖尿病薬が進歩しても高価な薬が多く、いろいろな問題点があるのが事実です。糖尿病患者の方々にとっては一生飲み続けなければならない薬の価格は大いに気になるところであり、すべての糖尿病患者が最新の治療を受けられる訳ではありません。さらに、糖尿病患者は十人十色で、運動療法ができる人できない人、食事療法にしても同じようにできるわけではなく、人生観、性格、考え方も人それぞれです。担当医がベストと考える治療を勧めても、「これまで好きに食べて好きに生きてきたので、今更基本的な考え方を変えるつもりはない」とまで言われる方もおられます。そうなると、治療そのものをどこかで妥協せざる終えない場合もあります。患者様一人一人に最適な治療をするためには、指導の仕方、治療の内容も千差万別となるため、診療時間も長くなり、医師を含めた多職種のスタッフで作られた糖尿病診療チームによる関わりが不可欠となります。そのため糖尿病療養指導士の資格を取得した看護師、理学療法士、栄養士、薬剤師のスタッフと糖尿病診療チームを作ることが非常に大切となってきます。
そこで、当院の糖尿病教育入院では一人一人の患者にとって最善の治療を行うためにはどうすれば良いかを追及するため多職種で合同カンファレンスを行い、みんなで意見を出し合った上で、糖尿病チームとしてベッドサイドに行って、合同カンファレンスの結果を説明して患者様からの質問があればチームのみんなで答えるようにしています。糖尿病教育入院以外でも、糖尿病透析予防指導、糖尿病合併症予防栄養教室も行っています。また院外活動として、少しでも三原市民の役に立つことが出来ればとの思いで、平成29年1月には糖尿病チームで三原市から依頼された講演活動を行いました。平成30年も講演活動の予定が入っており、今後糖尿病チームのスタッフが増えれば、このような院外活動にも力を入れたいと考えています。
(文責;興生総合病院 総院長 難波康男)