論文掲載について13(椎骨動脈解離によるくも膜下出血の手術について)
医学雑誌の脳卒中の外科 平成27年1号に “ 破裂椎骨動脈解離のtrapping術においてdiagonal proximal occlusionにてPICAを温存し得た1例”という題で、当院より投稿した論文が掲載されました。
椎骨動脈解離は破裂するとくも膜下出血を起こします。そして破裂当日に再出血を来しやすく、緊急で手術する必要があります。この椎骨動脈解離は正常の脳動脈が胸部や腹部の大動脈と同様に動脈壁が2層にはがれ、、弱くなり破裂する病気です。手術は、解離している病変部のある椎骨動脈をクリップで閉塞させ、血流が行かないようにします。しかし、この椎骨動脈解離は病変部から正常の血管である後下小脳動脈(PICA:posterior inferior cerebellar artery)が分岐している場合があり、その動脈を温存しなければなりません。そうしないと脳梗塞を起こすことがあるからです。今回の我々の症例では、クリップを工夫することによって、解離部近傍から分岐する後下小脳動脈を温存して、椎骨動脈解離を治療することができました。今後の椎骨動脈解離の治療に有用な情報と考え、論文にして報告いたしました。
平成27年2月8日